姉妹のなかでずっと比べられてきた。
「美しくて、神に愛された妹」と、「ただの侍女のような姉」。
子爵令嬢でありながら、常に聖女の妹の影に隠れてきたドロテアは、今日もまた“妹の尻拭い”を命じられる。
向かう先は獣人の国・レザナード。
外交儀礼を破った妹の代わりに、命がけの謝罪を担ったドロテアがそこで出会ったのは──
冷酷無比と恐れられる、黒狼王・ヴィンスだった。
獣の王の瞳に映ったのは、誰よりも健気な“侍女”
一目見た瞬間、彼は言った。
「気に入った。俺の妻になれ」
突然すぎる求婚にドロテアは戸惑い、混乱し、そして──心が揺れる。
傷ついた過去と低い自己評価を抱えた彼女にとって、
まっすぐに「お前が欲しい」と言ってくれる存在は、初めてだった。
デートに誘われ、モフモフを体験し、強面の王にドキドキしたり……。
次第にヴィンスの真っ直ぐで不器用な愛に、心が少しずつ溶けていく。
「あなたとなら、私……生きていてもいいと思える」
レザナードでの日々は、ドロテアにとって“救い”だった。
誰かのために尽くすだけではなく、自分の気持ちに正直になれる。
王でありながら、ただの一人の女性を見つめ、支えようとするヴィンスとの関係は、
恋の始まりであり、人生の再出発でもあった。
だが、母国ではドロテアを巡る“新たな陰謀”が動き出していた──。
尽くすばかりだった少女が、誰かに愛されていく奇跡の物語
『聖女の妹の尻拭いを仰せつかった、ただの侍女でございます1』は、
誇りも地位も関係なく、ただひたすらに健気に生きてきた少女が、
「愛されること」で自分自身を取り戻していくラブファンタジー。
黒狼王とのやりとりにキュンとし、
ドロテアの変化に涙し、
読み終えたとき、心がじんわりと温まる──そんな一冊です。