「泣き寝入りなんて、性に合わないの」
王妃となるべくして育てられた令嬢・ヴィルヘルミーナ。
だが王太子の策略によってその未来は突然断ち切られ、貴族の身分すら剥奪されてしまう。
すべてを失ったその日から、彼女の“第二の人生”が始まった。
「私は、夫を信じてる」──失意の中でも支え続けたのは、愛と誇り
追放されたヴィルヘルミーナが選んだのは、絶望ではなく“再起”。
誰よりも彼女の本質を見抜いていた青年研究者・アレクシと結婚し、彼の研究を全面的にバックアップ。
人目を忍び、資金をかき集め、手配と折衝に奔走し、
「あなたはきっと、世界を変える人だから」
その言葉がアレクシの背を押した。
魔素結晶化装置──国家を揺るがす革命的発明
アレクシの研究がついに実を結ぶ。
魔素を安定的に結晶化する装置の発明は、魔法エネルギーの供給に革命を起こす。
それは、ただの夫婦の夢ではなかった。
国家体制、社会インフラ、さらには国際情勢にさえ影響する、
“世界を揺るがす発明”となる。
そして、その発明を基盤にヴィルヘルミーナが立ち上げたのが──彼女自身の会社。
「王妃の座」よりも価値ある、“自ら選び取った未来”
奪われたはずの人生を、奪い返すのではなく、新しく築く。
それがヴィルヘルミーナの強さであり、誇り。
彼女の復讐は、剣ではなく成果で成し遂げられる。
民の生活を豊かにし、社会を前に進め、
「なにより、私は今、とても幸せなの」
その言葉が、すべての過去を凌駕している。
新しい時代の幕開けは、ひとりの女性の選択から始まった
“王にふさわしい妃”でなくてもいい。
誰かに選ばれるのではなく、自分で選び取る。
ヴィルヘルミーナの物語は、すべての読者に問いかけてくる──
「あなたにとって、本当の幸せとは?」
復讐ではなく、再起と創造によって世界を変える新しいヒロイン像。
読後、心に火を灯すような熱量と余韻を残してくれる一冊です。