「マリー、久しぶり。ずっと会いたかったよ」
その再会の言葉は、愛しさでも懐かしさでもなく、緊張と複雑な感情を呼び起こす引き金だった。
双子の妹にして、加護を奪った“宿敵”リリー。
姉妹という血の繋がりよりも深く、そして痛みを伴う関係。
いよいよ“再会”の時が来る──。
フィアーカの地で交錯する想いと陰謀
聖女派遣という大役を果たしたマリーに与えられた新たな任務。
その地、フィアーカは──かつてマリーたちが訪れた思い出の場所だった。
教会には多くの町民が押し寄せ、聖女マリーの神聖な姿を目の当たりにしようとする。
そして、その中に紛れていたのがリリーだった。
再会は突然で、予期せぬ形。
キリカの忠告も聞かず、マリーに近づこうとするリリー。
だが、その動きを止めたのは、黒龍メンバーの一員・テッド。
彼女の涙、そしてその後に訪れる偶然の邂逅が、新たな波乱を呼び込む。
贅沢と虚飾の姫へ──リリーと王子たちの出会い
テッドによって撃退されたリリーが涙を浮かべる中、
偶然現れたのは、隣国・ヘンゼッタ王国の第二王子。
マリーと瓜二つの容姿に心惹かれた王子は、リリーを自国へと招待。
ドレス、宝石、贅沢な暮らし──
加護を持たぬリリーにとって、まるで夢のような“第二の人生”が始まる。
だが、それは幸福か、それとも新たな檻か?
その存在はやがて、第一王子の耳にも届き、さらなる陰謀の幕が上がる。
運命に抗い、旅路を歩むマリーの“聖女”の在り方
一方、マリーは与えられた加護が奪われても、自らの足で立ち、自らの心で人を癒し、導いてきた。
彼女が目指す聖女像は、力や地位ではなく、行動と心から紡がれる“真の聖女”。
加護を取り戻す物語ではなく、“聖女であり続ける”物語へ。
『聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます3』は、
姉妹の対峙と国家の思惑が交錯する中でも、信念を持って進む少女の強さを描く、静かな感動のファンタジーです。