聖女の加護を奪われても、心まで奪われはしない──マリー、旅と成長の第3章

「マリー、久しぶり。ずっと会いたかったよ」

その再会の言葉は、愛しさでも懐かしさでもなく、緊張と複雑な感情を呼び起こす引き金だった。

双子の妹にして、加護を奪った“宿敵”リリー。

姉妹という血の繋がりよりも深く、そして痛みを伴う関係。

いよいよ“再会”の時が来る──。

フィアーカの地で交錯する想いと陰謀

聖女派遣という大役を果たしたマリーに与えられた新たな任務。

その地、フィアーカは──かつてマリーたちが訪れた思い出の場所だった。

教会には多くの町民が押し寄せ、聖女マリーの神聖な姿を目の当たりにしようとする。

そして、その中に紛れていたのがリリーだった。

再会は突然で、予期せぬ形。

キリカの忠告も聞かず、マリーに近づこうとするリリー。

だが、その動きを止めたのは、黒龍メンバーの一員・テッド。

彼女の涙、そしてその後に訪れる偶然の邂逅が、新たな波乱を呼び込む。

贅沢と虚飾の姫へ──リリーと王子たちの出会い

テッドによって撃退されたリリーが涙を浮かべる中、

偶然現れたのは、隣国・ヘンゼッタ王国の第二王子。

マリーと瓜二つの容姿に心惹かれた王子は、リリーを自国へと招待。

ドレス、宝石、贅沢な暮らし──

加護を持たぬリリーにとって、まるで夢のような“第二の人生”が始まる。

だが、それは幸福か、それとも新たな檻か?

その存在はやがて、第一王子の耳にも届き、さらなる陰謀の幕が上がる。

運命に抗い、旅路を歩むマリーの“聖女”の在り方

一方、マリーは与えられた加護が奪われても、自らの足で立ち、自らの心で人を癒し、導いてきた。

彼女が目指す聖女像は、力や地位ではなく、行動と心から紡がれる“真の聖女”。

加護を取り戻す物語ではなく、“聖女であり続ける”物語へ。

『聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます3』は、

姉妹の対峙と国家の思惑が交錯する中でも、信念を持って進む少女の強さを描く、静かな感動のファンタジーです。

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