『スパイ教室』シリーズ第13巻──それは、“謎”として語られてきた『焔』壊滅の真相に初めて切り込む、まさに核心中の核心。読者の心を揺さぶり続けてきた過去最大の謎が、ついに明かされる。
物語は十二年前にさかのぼる。そこにいたのは、伝説のスパイ『紅炉』フェロニカと『炬光』ギード。ふたりの強さ、そして哀しみが交差する運命が、世界のあり方すら左右する“起点”となっていた。
真実の先にあるもの、それは『選択』
激動の過去編を通じて描かれるのは、ただの真実暴露ではない。
浮かび上がってくるのは、「クラウスは何を知っていたのか」「『灯』のメンバーはその過去をどう受け止めるのか」、そして「この世界のバランスを、彼らはどこへ導くのか」という選択の重さだ。
組織、理想、友情、過去の犠牲──あらゆる“正しさ”と“痛み”がぶつかる中、クラウスたちが出す答えとは?
『スパイ教室』というシリーズの“真骨頂”がここにある
情報戦、心理戦、感情戦。
『スパイ教室13』は、そのすべてを濃縮した傑作だ。
読者はただ見届けるだけではいられない。
一行一行に刻まれる“過去の真実”と“現在の決断”は、まるで自分自身の中に問いを突きつけてくるようだ。
フェロニカとギード、そしてクラウス。彼らが選んだ道が未来へと繋がるとき、シリーズは新たな局面へ。
これまで以上に深く、そして切実な「スパイたちの物語」が、ここに始まる──。
フォーカスされるクラウスの現在、そして“《燎火》”の意味
本巻のタイトルに冠された《燎火》──それは、クラウスが背負う“記憶”と“決意”そのものである。
彼の中にある消えぬ過去と、信じる者たちへの思いが、まるで業火のように彼の行動を駆り立てる。
クラウスは、常に冷静沈着な存在として描かれてきた。だが今回は、その奥底にある葛藤と、誰よりも強い“情”が露わになっていく。
その変化が、これからの『スパイ教室』の世界観をどう動かしていくのか──目が離せない。
読み終えた後に残るのは、震えるような“余韻”と“問い”
一冊を読み終えたあと、心の中に残るのは「何を選ぶべきだったのか?」という静かな問いかけ。
読者自身が“灯”の一員になったかのように、物語と向き合い、未来を思案する。
13巻はただの通過点ではない。
シリーズの本質が集約された、最重要巻。
そして、それは次巻へ向けた“覚悟”のはじまりでもある。